従来の憲法の体系書・教科書は、まず憲法の性質といった、総論から説いていた。そのため、初学者にとっては読み勧めることがむずかしい。また大学でそういった類の本を、本の通りに順に進めていくと、だいたい人権総論までいけばいい方で、下手をすると、憲法総論と9条のところまでで半年ないし一年がおわってしまうこともしばしばだったようである。
本書は人権からはじまり、具体例から抽象論へ、つまり本来演繹的な議論を行う憲法学を、帰納的に描き出すことで、理解しやすくなっているように思われる。
講義を聴くまえにさらっと読んだり、講義を聞いた後に関連箇所を読み返すだけでも、不明確な部分が立体的に理解できる可能性がある。
ちなみにかなり高度な議論まで及んでいて、資格試験の類を受験しようと思っている人にも薦められる。索引を活用すれば辞書的にも使えるだろう。