淡々とつづる日記のようななにか
憲法と国際人権

お勧め本その1

長尾龍一『憲法問題入門』(ちくま新書、1997年)
ISBN4-480-05723-4

著者ははっきり言ってかなり率直な文を書くので、一読すると喝采する人もいれば反感を持つ人もいるだろう。けれども、一定の憲法に対する見方を持つ入門書の一つとして充分薦められる。
冒頭ではいきなりこんなたとえ話が出てくる。



乱暴者のJという男がCを殴ったり蹴ったりしている。Aが義侠心からCを助けようとすると、JはAにも殴りかかった。腕力のあるAはJをしたたか叩きのめして、降参させた。やじ馬たちは、「もっとやれ、二度と立ち上がれないようにしろ」とはやしたてたが、Aはそうはせず、自分の血に鎮静剤を混ぜて輸血した。Jはそれでおとなしくなり、怪我が癒ると、乱暴せずにまじめに働いて、財産を築いた。(8頁)




J、C、Aがどこの国なのかはすぐにわかるだろうが、それは本を読んでもらいたい。
こんな調子で、一見改憲を主張する本のように見えるかもしれないが、すぐにこんな発言が出てくるのである。



しかし独立を回復した日本が、国際的圧力の下で、いやいやながら憲法を維持したと考えるのは、必ずしも当たっていないであろう。占領終了後の日本で、改憲の自由をもった後も、日本国民は自発的に憲法を維持してきたと考えるべきであろう。第一、最大の外圧であるアメリカは、第九条に関してずっと改憲を望んでいたのだから。(13頁)




著者は法哲学者。著者の言葉を借りれば「法学の「観察者」」(201頁)である。
あくまで本書は憲法「問題」入門であって憲法入門ではない。その意味では一冊目に読む憲法の本としては適切ではないかもしれない。けれども普通の憲法の入門書を読んでなんか物足りないな、と思った人には是非読んでもらいたい。

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